ここまでバスケットが特集されている号を持ちだしてなんなんだが、
僕が一番に読んだ記事は、
「ニッポンの最後の切り札、田場裕也が奇跡を起こす」
だった。
田場選手は、高校時代からのスーパースター。僕が高校生のころ、日本で唯一のハンドボール雑誌「スポーツイベント・ハンドボール」で、日体大ハンドボールの田場選手の記事を何度も目にした。
数年後、「情熱大陸」で、フランスで活躍する田場選手を再び見つけた。今でもはっきりと覚えている場面、試合の大事な場面で田場選手がシュートを外してしまいチームは敗れた。試合後のロッカールームで田場選手は顔をくしゃくしゃにして大きな声で泣いていた。その試合はプレーオフでもなく、ヨーロッパチャンピオンズでもなかった。ただ、リーグの1試合。
ナレーションが入り、「泣くことは恥ずかしくはないですか?」と田場選手に質問を。田場選手の答えは、「恥ずかしくはないです。悔しくて出る涙は止められないです」というものだった。
さらに数年後、五輪予選再試合で田場選手を見つけた。彼は日本代表で20番を背負い宮崎とともにエースとして試合に出場・・してはいなかった。
解説席でスーツを着ている田場選手の姿だった。
田場選手はフランスのチームの契約延長を断り、日本に帰国し生まれ故郷の沖縄にハンドボールのプロチームを作った。GM兼選手として、決してレベルが高いとはいえないチームでプレイしている。
田場選手どんなにすごい選手であっても、レベルの違う環境でプレイをし、ましてや開催までの期間が1か月しかない、そして一発勝負の舞台では、代表に呼ばれることは難しいことだろう。
五輪予選再試合はメディアの盛り上げもあり、大会自体は盛り上がった。もちろんハンドボール経験者の僕も、その状況はうれしかった。連日、宮崎選手がメディアに取り上げられ、ハンドボールのルールがテレビで流された。
だが、試合内容が盛り上がったかと言われれば、そうではないだろう。盛り上がりを見せたのは開始直後と、後半17分から26分までの2点差の展開のときだけだった。ハンドボール経験者が見れば、韓国選手のレベルの高さや、両国のGKが当たっていたという点ではそれなりの試合だったかもしれないが。
一瞬にしてハンドボールブームが消え去ってしまったのは、見る者を惹き付ける何かがたりなかったからだろう。
たとえば、サッカーではアメリカW杯予選で、「ドーハの悲劇」と呼ばれる劇的な展開で日本はワールドカップへの出場を逃した。そしてフランス大会予選では、何度も何度も躓きながらも本大会への出場を果たした。
ドーハの悲劇とジョホールバルの歓喜の両試合、僕はテレビでその試合を観戦したが、その試合には間違いなく、見る者を惹き付ける何かがあった。
フランス大会では、日本サッカーの絶対的な選手だったカズが代表から外され、帰国した空港で開かれた会見で彼はこう言った。
「魂はフランスにおいてきた」
話をハンドボールに戻すと、田場選手は五輪世界最終予選に向けた日本代表強化合宿に、オープン参加で合宿に加わっている。
今回の記事の中に、「もう一度、日本代表を目指してみたい」という言葉と、もう一つ印象に残った言葉が、
「選んでくれるんなら、期待されてることはわかってます。それは、チームに魂を込めること」
僕がスポーツに感動を覚えるのは、間違いなく「その部分」だということが、この雑誌とこの記事で再確認できた。
580円以上の価値がある雑誌なので、一度ご覧あれ。
最後に書いてしまうと、AJバッシュ特集と、石原さとみの記事はいらなかったなぁ・・・。
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